会社に居場所がなく、家に帰っても奥さんが怖い、そんな人にとって憩いの場とされるのがサードプレイス。
仕事場でも家庭でもない本来の自分に帰れる場所、と言う意味で現代日本で使われる言葉です。
もう、その考えの大先輩が室町時代末期にいました。
その人こそ、室町幕府八代将軍、足利義政。天下人なのに、ぜんぜんダメ人間です笑。
権力争いは大の苦手で、応仁の乱が起こっちゃうし、親族にはあの悪名高い日野富子もいますしね。
そりゃー引きこもりたくもなるよ!ってことで実際、引きこもるために作ったのがこの銀閣寺です。
銀閣寺、と言う名前も後世の人が、金閣寺に対抗してつけた名前で、当時は普通に東山の山荘って感じです。
もうそこで、現実逃避しまくりの、僕の好きなセンスの世界に生きたいだけです、オタク心満載の場所ですね。
が、それが東山文化という、京都の文化を代表する文化を形成するわけですから、
世の引きこもりを励ますのに、これほどいい話があるでしょうか。
銀閣寺への行き方は、京都駅からバスでゆられること30分ほど。
「銀閣寺道」下車徒歩10分です。
お土産屋さんなんかも並んで楽しい。
入り口入るとまずこの異常に高い木々に挟まれたスロープ。「進撃の巨人」だってちょっと入ってきづらそうです。
明らかに世の中と隔離したい!という義政の意図を感じます。
が、これが後世の世になると、角を曲がることによって、開ける庭園への期待感を募らせる演出、
とか言われちゃうんですから、わからないものです。
ちなみにこの砂の道、朝イチで行くときれいにされたところに、自分の足跡を刻むことができ、ちょっと気分いいです。
初雪の日の朝のような、気持ちよさをぜひ。
はい、見えてきました銀閣寺。
「オレは金閣寺より銀閣寺のほうが好きだな」的な発言をして、ちょっとワビサビ感ある、
本当のアートわかってる風を言う人がいますが、すみません、だいたいみんなそうです。
東山文化の代表的な建築様式、書院造り。
平安時代の寝殿造りは寝殿を中心に構成されますが、書院造りは書院を中心に据えます。
まーでも圧倒的にわかりやすいのはこの地味さですよね笑。
引きこもりおじさんが作ったこの建物、世界遺産にして国宝です。
ここに雪化粧が加わると、同じ室町時代のスーパースター、雪舟の水墨画を体現したかのようになります。
京都のアート、日本のアートの聖地ですねー。
実際に義政が生活をしていた東求堂のほうがむしろ東山文化の発祥とも言える建物。
床の間や違い棚など、現在の日本建築の基礎を作りました。
やるじゃん、引きこもり将軍!
こちらも有名な「銀沙灘」。白い砂に光を反射させて、銀閣寺を照らすため、などいろいろな説があります。
が、意外にも当時からあったわけではなく、江戸時代後期に作られたそうです。
こちらは向月台。月を見るためにこの台の上に座って見た、なんて説もありますが、
絶対崩れますよね笑。
この銀沙灘と向月台はいろいろな意味の説がありますが、正直、海と富士山を見立てただけ、じゃダメですか?
キレイだし、そんなに意味求めなくていいかなーと思います。
モコモコ苔のお庭は東山文化の根底にある「幽玄」というキーワードをやっぱり想起させますねー。
雨の日に来てもまた違った魅力を見せてくれそう。
義政は庭を散歩しながら、「あ、そうだ今度、(村田)珠光呼んでお茶しよ!」
とかいろいろ楽しいこと考えてたんでしょうね。
それが後に茶道として現代にまで続く文化になっちゃうんですからすごいです。
広い敷地内では、東山にもちょっと登ることができます。
さすが歴史上最大の引きこもり。うーん世捨人、うらやましい!
銀閣寺
京都府京都市左京区銀閣寺町2
075-771-5725