【無鄰菴】カフェも始まった京都人が愛する庭を持つ名勝。
知り合いの京都在住のデザイナーに、京都でオススメの場所を聞いた際に出てきたのがこの「無鄰菴」。
全国的には有名じゃないですが、京都人、特にちょっとセンスいい京都人笑、が好きなスポットです。
無鄰菴は山縣有朋の別荘として建てられました。
山縣有朋はなかなかの数奇者でしたから、別荘や庭にはちょっとうるさい。
東京は目白の「椿山荘」も、もとは山縣有朋の別荘だった場所です。
そんな有朋が庭師として著名な七代目小川治兵衛と作ったわけですから、そりゃーセンスよし。
場所は「蹴上」駅より徒歩7分。
周辺は南禅寺や高級料亭の「瓢亭」、湯豆腐の老舗「順正」があったりと、
観光もグルメも楽しめるエリア。
もともと高級別荘地ですからね。いい店揃ってます。
入り口は慎ましやか。
豪華絢爛じゃないところも、京都人好みでしょうか。
二階建ての母屋、洋館、茶室で構成されています。
見るべきはなんといってもお庭。
自然と調和し、開放的な庭は評価が高い。もちろん国の名勝です。
まず、東山の借景。借景とは自分の庭の範囲じゃないけど、庭から見える景色、
つまり「景色を借りる」から借景ですね。
目の前の庭からそのまま視線を上げていくと、断絶することなく東山が見える。
それだけ開放感も演出できている庭ということです。
そして、もう一つ重要なのが、琵琶湖疏水から引かれた小川。
琵琶湖疏水が完成した明治時代ならではの作庭です。
庭内に滝を二つも作り、かつ、小川の流れは浅く、そよそよと流れる。
いかにも日本人好み。芝生を広々と植えているのは明治らしい。
軒先から庭をみる。
全体的にはもちろん和風なんだけど、芝生があるから、現代的にみえる。
山縣有朋が芝生好きだったようです。
後年、伝統的な苔も好きになったそう。
実際、庭の中央は芝生ですが、外側は苔エリア。
和洋折衷な近代的な庭。
それにしてもずーーと戦ってきた人なのに風雅の才もあるんなんて。
ここで山縣有朋について軽く説明しておきましょう。
長州藩士出身で松下村塾に入塾、高杉晋作の奇兵隊に入隊。
そこで頭角を表す。本人はかなり鍛錬好きの武人肌っぽいですが、
奇兵隊での手柄的にはどちらかというと実務的な面だったようです。
このあたりは司馬遼太郎の「世に棲む日日」が詳しいのでよかったらどうぞ。
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その後、戊辰戦争、西南戦争、日清戦争、日露戦争と重要な戦いに関与し続けた有朋。
そりゃー誰も何も言えなくなっちゃいますよね。
そんなわけで、どんどん偉くなっちゃいます。権力持っちゃいます。
軍部のトップ。元老中の元老。派閥作っちゃいます。実権握っちゃいます。
幕末好きとしては、高杉晋作とか先輩ヒーローたちが、死して日本を変えて、
その当時ヒヨッコだったのに、明治時代から長いことエラそうにしやがって、
という気持ちもなきにしもあらずなんですがね。。
母屋の屋内。スッキリ開放感あり。
母屋の二階は貸切もできます。
一日借りても5000円程度。国の名称がこの値段で!これは安い。
ゴージャス、って感じじゃなく安らぐ感じ。
造園好きの山縣有朋。実はここのほかにも無鄰菴があって、
拡張ができなかったのでこちらに作った。
一個前の無鄰菴はいまや「がんこ高瀬川二条苑」となっています。
無鄰菴会議が行われた洋館も公開されています。
無鄰菴会議とは、日露戦争も致し方なし、と決定した会議で、
山縣有朋、伊東博文、小村寿太郎、桂太郎が出席。
こんな暗い部屋にこもって決めるなんて、いかにも軍閥主義を築いた山縣らしい。
あ、あと最近はカフェも始まったそうです。
これはいいと思う。今度、行ってみよう。
無鄰菴
京都市左京区南禅寺草川町31番地
075-771-3909
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