ミシュラン三つ星の京都「一子相伝 なかむら」で子供連れランチ。
京都は富小路御池下ルにある「京料理 一子相伝 なかむら」。
言わずと知れたミシュラン三つ星、食べログ京都ランキングでは4.26の19位の名店。
ミシュラン三ツ星だけど、子供もOKということで行ってみた。
ランチ大人15,000円。子供は4000円ぐらいだったかな?
「なかむら」の歴史は、江戸時代、文化文政のころに遡る。
若狭ものを商っていた初代は、魚の目利きとして評判で、御所や公家の御用を務めていたとのこと。
茶人でもあった三代目が、近くの高級旅館「俵屋」「柊屋」「炭屋」などに仕出しを始める。
料理屋の形になったのは先代の正蔵さんの代で、現在は五代目の中村文治さんが当主。
このあたりについては、「京都なかむら中村文治の京の料理」に詳しい。
佇まいはとてもシンプル。でも威風堂々。
この辺りは、俵屋や柊屋旅館、飯田などグルメをうならせる店が揃ってるいいエリア。
玄関入るといい感じに濡れた石がすがすがしい。
かすかに香るお香がまた「うわー品のいいとこ来たな」と思わずにいられない。
そして、間髪入れず、お出迎えを受ける。
廊下も畳。板の間なし。ググッと本気。
ババーーン。個室に通される。もはや旅館じゃないですか。
ピッカピカのテーブルがもう高級感ハンパない。
ちょっと俵屋旅館に似てるなー。
個室だから子供連れも気にならなくていい。
部屋に入ったら上着を部屋の隅の屏風みたいなとこに置く。
この屏風の絵はオーナーの親戚が描いたとのこと。
部屋が明るくなるビビッドな絵柄がいい。
雪見障子から見える坪庭。落ち着くなー。
掛け軸も地味過ぎず派手すぎず。
これは誰の作品?と聞いたところ、確認しますと答えるも、答えてもらったことがない。
この対応は高級和食店のマニュアルにでも載ってるのだろうか笑。
で、部屋にも「一子相伝」がバーーーンと。
廊下や玄関、とにかくあちこちで見る「一子相伝」。
もはやまるRが付いてるんじゃないかってぐらい。そんなに謳わなくても。。
さて、お料理スタート。
まず、びっくりしたのが配膳の仕方。
仲居さん2人がうやうやしく、最初の皿を膳に載せ、奉納するかのよう持ってくる。
そして、深々と一礼して、ご挨拶。
いやいや、当方、そんな。神様じゃないんだから!と言いたくなるぐらい丁寧。
びっくりしたー。
最初の一皿は、真っ赤な色が美しい皿にのったエビとウニの料理。
ゆずの香りが野趣溢れる。ポン酢系の酸味が鮮烈で胃が一気に開いていく。
と、横目に子供用のお料理もスタート。天ぷらです。
和食とか、子供的には嬉しくないんだろうなーと思いつつ、
「美味しい!」と一言。
聞けば、天ぷらにつけるとろみがかった餡が美味しいとのこと。
7歳の舌をも唸らせるとはさすが。
大人に戻って二品め。蓋とお椀、色違いで見目麗しい。
こ、これはもしや!?
出たっ!! なかむらの一子相伝のスペシャリテ「白味噌のお雑煮」!
出汁を一切使わず、白味噌と京都の水だけで作る。
そこの辛子を入れ、軽く焼いたお餅を入れる。
白味噌の甘さと辛子のちょっとツンと来る辛さがベストマッチ。
とろとろのスープ、とろとろのお餅、超やさしい味。
例えが、間違っていると思うが、お雑煮というより辛子も入ってるのでおでんっぽい味。
いや、超上等なんですけどね。でも、大阪の「常夜灯」のおでんを思い出させるんだよなー。
そして、まさかの、またも子供が「美味しい!!」と一言。
子供の方には、お餅じゃなくてエビ芋が入ってた。
「こういうお芋好きだしこのスープも美味しい」とのこと。
こんなシブい料理に反応するなんて、我が子ながらエラい笑。
子供膳はさらに二皿出てきた。お皿がかわいいなー。
一つは飯蒸し。美味そう。。
こちらは茶碗蒸し。以上で子供膳は全品。7歳にはけっこうボリュームある。
が、子供完食! これは相当美味かったんだろうなー。
恐るべき、一子相伝なかむら!
また、大人に戻ってお造り。
京都ではお刺身、とは言わない。
それだと魚の身を切っただけじゃん、となるらしく、ちゃんと「作ってる」と言いたいらしい。
なので「お造り」と言うそうです。
で、「お造り」はマグロ、イカ、シマアジの炙り。
そりゃ上等でしたよ。穂ジソまでしっかり食べてやりました。
炊き合わせ。京菊名、大黒キノコ、金時人参、エビ芋、湯葉。
これは美味かったなーー。
焚き合わせ史上、一番美味かった。
全体的に甘い味付け。が、そのほのかな甘さが絶妙だった。
京菊名の苦味と甘さ、京都の特産、エビ芋のこっくりとした味わいが特においしかった。
冷酒、いってみました。銘柄はたしか「京の四季」って言ってたような。
さっぱりとして飲みやすい。
続いて蟹とイクラ。みずみずしい。山芋、ちょっと風味強いなー。
スペシャリテその2、出ました、「甘鯛(グジ)の酒蒸し」。
身が、身が、ふんわりですよー! 適度に弾力もあって美味しい。
上品さとやさしい味の最上級といった感じ。
いわゆる京都の始末の精神=余すことなくいただく、で、骨をあえて残してスープに。
これがとんでもなく美味い! 透明なのに味が濃厚。
最後はご飯。シメジの炊き込みご飯。
そりゃ美味しいですよ。とにかく味がやさしいなー。お米がふんわり。味わいふんわり。
当然、お代わりしましたよ。
最後は、柿のジュレ、レモンとアールグレイ風味。
これは。。食べたことない味! 相当美味い。
柿と紅茶って合うんだなー。て言うか、同じ果物のレモンとも合うとは驚きだ。
柿の皮がペラッペラになるぐらい、グリグリにほじくってやりましたよ!
帰り際、一冊の本をもらう。
なんと、一子相伝とさんざん言いながら、白味噌のお雑煮や甘鯛の酒蒸しのレシピが書いてある!
どういうことだ笑。
まるで種明かしのようにもらえる本(これが「京都なかむら中村文治の京の料理」です)には、
作り方は書いてあるけど、分量などは書いていない。
その理由は、料理は自分の味をそれぞれで決めていい、ということと、
その日ごとに素材のコンディションが違うので、書きようがないとのこと笑。
このあたりが一子相伝の技術なんでしょうね。
京料理 なかむら
〒604-8093 京都市中京区富小路御池下ル
TEL:075-221-5511 FAX:075-221-4411