京都【圓光寺】徳川家康が開いた学校に文人墨客が集う。
京都は左京区、叡山電鉄「一乗寺」駅下車にて徒歩15分。
関ヶ原の戦いのわずか一年後に徳川家康が建てた学校が「圓光寺」。
天下分け目の合戦からたった一年でもう学校作ってるって意外ですよね。
孔子の教えを広めようと、出版物を作ったり(当時の活版印刷の道具も見られます)、
その後、円山応挙や富岡鉄斎も出入りしたりと、なかなか文化度が高いお寺。
江戸時代、明治時代の文化人たちのサロン的な場所だったのかもしれません。
そしてこの圓光寺、最も有名なのは何と言っても紅葉。
ですが。紅葉の名所は青葉の名所。紅葉時期以外もすばらしいのです。
というわけで、あえての紅葉外しで行ってみました。
叡山電鉄「一乗寺」駅を降りて圓光寺に向かう。
さて、この一乗寺と言えば外せないのが宮本武蔵と吉岡一門との決闘の地「一条下り松」。
圓光寺に向かう途中にあるので、ここは見ておきたい。
現代はもう、普通に住宅街の中にポツンとある感じですけどね。
井上雄彦の「バガボンド」で見る限り、この辺一帯、家なんか全然ない野原だったのになー。
決闘かー。すごいな。
と、ザックリとした感慨に耽りながら圓光寺に向かう。
坂道を登ること7分ぐらい、この辺りは詩仙堂なんかもあり、見どころたくさん。
あっちこっちまた来ようと思いつつ圓光寺に到着。
うーん人がいない。やっぱり紅葉時期を外すといいね。
最初の見どころは「奔龍庭」。
白砂を雲海に見立て、その雲海から龍が顔と背中をのぞかせている、というイメージ。
実際、かなりそれっぽく見えておもしろい。
左にあるのが頭で右のほう、手前が体。ぐるっと回ってる感じ。
なんだか白砂の上に立とうとしたら、ズボッと埋まりそう。
ちょっとファンタジック。
ここからの市街も絶景。夕日はきれいでしょうな。
白砂の庭は囲いがあるわけじゃなく、いきなり白砂が広がり、その間に石の通路がある感じ。
これはこれでちょっと新しい感覚の庭。
庭の横には活版印刷や応挙の作品などが展示してある資料館も。
下駄箱の上になにげなく置いてあるオブジェがメチャかわいい。これはほしい!
円山応挙作の竹林図屏風。いきなり見られるとは!
墨一色、筆一本なのに写実性がすごい。
笹のサラサラした感じ、よく出てるわー。竹のすっくとした佇まいもいい。
本堂のほうへ行くと、今度は富岡鉄斎。「米點山水図」。
米點とは筆で点を重ねて書いていく南宋時代の画風だそう。
点描画の大家スーラの「グランドジャット島の日曜日の午後」の何百年も前にやっていたとはさすが中国。
富岡鉄斎は幕末から明治にかけての文人画家。
大田垣蓮月に学び、「万巻の書を読み、万里の道を往く」として、にほん各地を旅した変わり者笑。
滲んだ墨がやわらかくてやさしい。
舟。シンプルだなー。
翻って「十牛之庭」。こりゃ有名なのでポスターなんかで見たことある人も多いんじゃないでしょうか。
ここが紅葉となると、人も十じゃきかないほどギュウギュウです。
紅葉はなくとも十分きれい。
庭に出ると緑の世界。人もいなくて貸し切り気分。
円山応挙、富岡鉄斎に負けじと創作意欲が湧いてくる?
庭は広く、岩倉具視が作った茶室や徳川家康の歯を奉納したお墓もある。
ほかにNHK大河ドラマ「花の生涯」のヒロイン村山たかの墓も。
苔むした庭が美しい。
ザクザクと白砂の音が子気味いい。
応挙がよく訪れたという竹林。ここで竹の書き方をめちゃくちゃ練習したんだろうか。
波一つ立たない静寂な池。
池にはイモリ?ヤモリ?がポカーンと浮いてた。
なんだかこっちもポカーンとなり、悟りでも開けるんじゃないかと思えてくる場所でした。
圓光寺
京都市左京区一乗寺小谷町十三番地
075-781-8025 fax 075-781-8035
(電話受付時間 午前9時~午後5時まで)
市バス 5系統 一乗寺下り松下車 徒歩10分
叡山電鉄/叡山線 一乗寺下車 徒歩15分
駐車場(30台)有り
坐禅会、坐禅堂使用、茶室使用、ロケーション撮影使用、
写真利用、拝観時間等のお問い合わせはこちらへ
keikan-enkouji@nifty.com