京都、高桐院の紅葉は”紅葉界のファンタジスタ”の精神が感じられます。【後編】
京都一、センスのいい紅葉、高桐院の後編です。
前回は撮影マナー、高桐院のセンス勝負についてなどで、結局20メートルくらいしか進めなかったので、
今回はやっと中に入ることにします。
ということはあの「そうだ 京都、行こう」CMキャンペーンの場所までは無料なんですね笑。
と言いつつ、ここまで来たら当然中まで入りたい、というのが人情というもの。
しかも境内には見どころたくさん。後編では見どころとそのストーリーを紹介していきます。
まずは紅葉時期の高桐院なら、ここ、「楓の庭」。
名前からするともう楓が豪華絢爛に植ってるんじゃないかと想像しがちですが、
そこは数奇者、細川忠興。当然ハズしてきます。
逆に引き算の美学とばかりに、楓の樹が数本植ってるだけ。
灯籠一つ、苔生した地面、そこに真紅の楓の樹が数本。
ワビサビ紅葉の真骨頂です。
それにしても、「そうだ 京都、行こう」キャンペーンのポスターだとけっこう紅葉だったな。
ちょっと加工してるんでしょうか。それともさらに引き算してます?
引き算の美学と言えば、師匠の千利休は「朝顔が見事なのでぜひ見に来てください」と秀吉に言って、
秀吉が来てみると、朝顔が全部刈り取られてあった。
秀吉はどういうこと?と思いながら茶室に入ると、そこに一輪だけ朝顔が!
というほどの引き算好き。個人的にはイマイチこの話、好きじゃないんですけどね。
「楓の庭」と別の庭は野趣あふれるスタイルの紅葉。
いろいろなタイプの紅葉が楽しめます。
こちらの蹲は朝鮮出兵した加藤清正が持ち帰った石を蹲にしたもの。
DIYの精神も感じられます。
というかサラッと歴史上の人物たちの邂逅も感じられるのも高桐院のいいところ。
続きましてこちらの灯籠も一級品のストーリーが付いてます。
千利休が所有していた灯籠で、あまりの見事さに秀吉がほしい、と言い出し、
利休が断るためになんと。。
灯籠の一部を切り取ってダメにしたとか。。
うーんこれもどうなんだろ? そんなにあげたくない?
というか所有欲のため美を壊すってどうなんだろうと利休の人格を疑ってしまうエピソードです。
とまあ、いろいろありますが、まだまだあります笑。
細川忠興の父、細川藤孝(幽斎)を弔うために建立した塔頭ですが、細川家代々の菩提寺でもあります。
奥さんの細川ガラシャのお墓も。さらに、なんと歌舞伎の租と言われる出雲阿国と名古屋山三郎のお墓も。
なんか当時の芸能界のスターが集まっているような場所です。
名古屋山三郎は絶世の美男子だったそうで、今で言う、ジャニーズのトップみたいな?
細川ガラシャは関ヶ原の戦いの直前、徳川側についた夫は関東にいましたが、
大阪の細川屋敷に残っていたガラシャは、石田三成が人質にされそうになります。
が、キリシタンだったガラシャは自殺は禁じられていたため、
家来に介錯してもらいつつ
さて、室内の方に行きましょう。
書院は「意北軒」と呼ばれ、千利休の邸宅を移したと言われてます。
利休、黒好きですからねー。
こちらは茶室「松向軒」。秀吉が催したフェス「北野大茶会」の際、
忠興が出品した茶室をそのまま持って帰った、という茶室。
確かにかっこいい。一見の価値ありです。
朝の日光がやわらかに差し込んでくる感じ、めっちゃ居心地いい。
茶室にしては珍しい黒壁もいかにも利休七哲の忠興らしい。
数奇者仲間の古田織部も来たんだろうなー。
とまあ、犬も歩けばエピソードにあたる、とばかりに小さな境内のあちこちに曰くつきのものが配置されてます。
1回目は美術館のように、ただただ感じるままに、2回目は博物館のようにストーリーを勉強しながら、
3回目以降は季節を変えて、一日の中で来る時間を変えて、と何度でも来たくなるお寺です。
高桐院
京都市北区紫野大徳寺町73-1
075-492-0068
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