京都アートの超絶技巧が見られる!「清水三年坂美術館」
美術館が集まる京都でも、一風変わったコレクションを持つのが「清水三年坂美術館」。
明治時代、政府が外貨獲得のため、国内の工芸品を海外に売る、という国策を打ち出しました。
結果、外国人の趣向に合わせ、超絶技巧が施された工芸品がたくさん海外へ流出。
それを初代の館長が日本に買い戻し、作ったのがこの美術館です。
なんだかすさまじい愛情を感じますね。
場所は名前の通り、三年坂にあります。
まわりはもう観光地の大通り。あちこちで抹茶パフェやらなんやらが売られて大賑わいですが、
この美術館の前だけ、しっとりしています。
外の雑踏がウソのような別世界。
さて、明治期に海外でウケていた工芸品ってどんなの?って話ですが、
メインは七宝、漆工、金工、牙彫、木工あたりです。
刀装具や印籠などに使われた技法が、明治に入り日本が西洋化していったため、急速にその需要がなくなっていきます。
そこで、その技法、技術を海外に向けて輸出していったわけです。
高村光雲の「老猿」はシカゴ万博に出品され、その高い技術を世界に示しました。
その高村光雲の作品もいくつか見ることができます。
ちなみに「老猿」は東京国立博物館で見ることができます。
七宝も強烈な色彩美。七宝の第一人者、並河靖之の有線七宝も展示されています。
並河靖之は京都で活動していたので、京都に並河靖之七宝記念館もオススメです。
それにしても、七宝、なんど作り方を読んでもイマイチわからない、不思議な工芸です笑。
清水三年坂美術館ならではなのが安藤緑山の象牙彫刻シリーズ。
とにかく写実的。栗やタケノコなど、ものすごいです。
ちょっと皮が剥けちゃって、あと数日もしたら腐ってしまいそうな栗。
でも、この状態がもう100年以上続いていて、さらに永久的にこの状態を見せ続けるってすごい。
テレビ東京の「美の巨人」でもたびたび取り上げてますが。
緻密な幕末から明治にかけての、日本の技術と世界の好みが融合した、
稀有な作品群を一堂に見ることができる貴重な美術館と言えるでしょう。
清水三年坂美術館
京都市東山区清水寺門前産寧坂北入清水三丁目 337-1
075-532-4270